肝臓には、栄養素の分解、合成、貯蔵や脂肪の消化吸収補助、有害物質の無毒化など様々な働きがあり、犬にとって欠かせない臓器です。
一方で、肝臓病を患っても初期の段階では目立った変化があらわれにくく、病気が分かったころには肝硬変、肝不全まで進んで症状が進んでいるという特徴も持ち合わせます。
肝臓病は、肝臓に何らかの炎症が起きたり細胞が壊れることで起こりますが、その原因は、様々なものが考えられるため特定するのは難しいとされています。
・ウイルスなどの感染症によるもの
ウィルスの他、細菌、寄生虫、真菌、原虫によっても発症します。
・遺伝によるもの
胴が異常に体内に蓄積する遺伝性の症状があります。ホワイトテリア、スカイテリア、べトリントンテリアなどがかかりやすいといわれています。
・中毒によるもの
誤飲やプロピレングリコールという成分を含んだおやつが原因。
・ダイレクトな損傷
事故や転落により直接衝撃を受けた場合など。
上にも書きかましたが、肝臓病は初期の段階でほとんど症状は見られません。一般的には、食欲不振、元気がない、体重減少、嘔吐、飲水の増加などが言われていますが、その他の病気の症状とよく似ているため、すぐに「腎臓病だ!」と判断するのは難しいのが現状です。
肝臓病が放置された場合、毒素が排出されずにどんどんたまり肝細胞が死んでいきます。全体の80%が死亡すると肝硬変となり、肝不全の症状が出るようになります。
肝不全の症状は、黄疸、腹水、出血、肝性脳症など。ここまでくると症状もはっきりしてきますが、食欲不振で診てもらって始めて肝不全と診断されるケースもあるようです。
ドーベルマン、ラブラドールレトリバー、コッカースパニエル、ダルメシアンなどがかかりやすいといわれていますが、シニア犬になるとチワワ、プードル、シーズーなど小型犬もかかりやすくなります。
肝臓病は、投薬で治療を行います。肝臓は、2/3を切除しても3ヶ月後には元の大きさに戻るといわれるほど自己再生力が高く、投薬、食事療法の継続で回復していきます。
肝臓病では、基本的に高たんぱく・低脂肪でビタミンが豊富にとれるものが治療食になります。
しかし、症状が重い場合には、たんぱく質の代謝により発生するアンモニアが解毒できない可能性があるため、低たんぱく質で消化の良いものを与えます。
この段階では医師が提案する肝臓病用のドッグフードがメインになります。
症状が安定してきたら、高たんぱく、低脂肪のドッグフードを与えるようにしてください。その他、消化吸収が良くビタミンを豊富に含んでいるものも肝臓病食として最適です。
肝臓病は、制限する成分が多いので飼い主さんの自作食もおすすめです。
ビタミン豊富なドッグフード