ドッグフードに原材料として使われる肉の種類は、牛肉、豚肉、チキン、ラム、鹿肉、馬肉などたくさんあります。

 

その中でもよく使われるのがチキン。価格が安く犬の嗜好性が高いことがその理由です。

 

一方、豚肉は脂肪分が多いこともありあまり使用されていないのが現状です。

 

今回は、ドッグフードとたんぱく質(肉)の関係、たんぱく質として使われるお肉の種類について考えていきたいと思います。

 

ドッグフードに含まれるたんぱく質の割合

 

一般にドッグフードは高たんぱく低炭水化物のものが良いと考えられています。

 

犬にとってたんぱく質は大切な栄養素の一つであり、筋肉を作ることとそれを維持するためにたっぷりと摂取する必要があります。

 

一方、炭水化物は犬にとって消化が難しい栄養素で、食べすぎると肥満になることから、高たんぱく低炭水化物のドッグフードがいいとされているのです。

 

最適なたんぱく質割合はどれくらい?

 

AAFCO 米国資料検査官協会(Association of American Feed Control Officials)は一般的なガイドラインとして、ドッグフードは最低でも以下のたんぱく質を摂取するようにと要求しています。

 

成犬

18%以上

子犬・妊娠中・授乳期間中の母犬

22.5%以上

 

この数字はドッグフードからすべての水分を撤去した後で残る乾燥物(粗たんぱく質)の量を表しています。どんなに少なくても成犬で18%以上は与えるようにする必要があります。

 

minami

 

理想としては成犬で25%以上は摂取できるようにしてあげたいところです。

たんぱく質が多いことのデメリット

 

犬にとってたんぱく質は大切な成分の一つであるため、パッケージに表示されている給餌量を守っていれば、高たんぱくフードを食べ続けることによるデメリットは基本的にはありません。

 

ただし、欲しがるからと必要以上の量をあげたり、栄養を計算せずに肉ばかりの手作りフードを与え続けるとよくない影響が出ることがあります。

 

体調を壊すことがある

 

肉に含まれるリンは蓄積するとカルシウムを奪う特徴があるため、犬の骨が弱くなることが考えられます。

 

また、肉は窒素処理の時に肝臓や腎臓を使うのでこれらの臓器に疾患があるワンちゃんにとっては負担が大きくなることがあります。

 

攻撃的な性格になることがある

 

肉ばかり食べることで体内のアミノ酸濃度が高くなります。すると、セロトニンが少なくなるためイライラすることが増え、いつもより攻撃性が高くなるリスクがあります。


原材料として使われる肉の種類を比較

お肉は栄養素やカロリーで比較すると意外と違いがあるのがわかります。下記の表で簡単にまとめてみました。

 

使用する部位や産地によって違いはありますが、ドッグフードによく使用されるもので比較しています。

 

肉の種類 カロリー たんぱく質 主成分
牛肉 371kcal 14g

ビタミンB12

豚肉 386kcal 14g ビタミンB1
鶏肉 200kcal 16g ビタミンK
羊肉 217kcal 20g ビタミンB12
鹿肉 110kcal 22g ビタミンB6
馬肉 110kcal 20g カルシウム

 

栄養成分の他に気になる特徴を比較しました。

 

価格 嗜好性 アレルギー
牛肉
豚肉
鶏肉
羊肉
鹿肉
馬肉

 

価格については、産地や肉副産物の使用・不使用で大きく変わることがあります。

 

嗜好性については、チキン以外を使用しているものでも、犬が好む原材料をプラスするなど工夫をしているものが多い印象があります。

 

minami

 

ドッグフードの産地や成分は、パッケージの成分表示ラベルで確認できます。

肉の種類別のメリット・デメリット

ドッグフードの原材料に使われるお肉の種類とそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。

 

牛肉

 

牛肉にはビタミンB12をはじめとしてビタミンB群が豊富に含まれます。ビタミンB12は造血ビタミンともいわれ、健康的な血液を作る働きがあります。

 

鶏肉やラム肉に比べて特出した成分はありませんが、必須アミノ酸がバランスよく含まれる機能性食品です。チキンの次に犬の嗜好性が高いとされています。

 

メリット デメリット
・犬の嗜好性が高い ・肉の中で一番アレルギーを起こしやすい

 

豚肉

 

豚肉は、なんといってもカロリーが高いのが特徴です。上記の表では牛肉とあまり変わりませんが、豚自体の脂肪分が多く、ドッグフードに使用できる箇所が少ないためあまり主原料として使われることはありません。

 

豚肉は国産フードに時々使用されることがあります。

 

栄養素では疲労回復効果があるビタミンB1を多く含みます。

 

メリット デメリット

・栄養価が高い
・疲労回復効果がある
・価格が安い

・流通量が少ない
・まれにアレルギーを起こすことがある

 

鶏肉(チキン)

 

鶏肉は脂質が少なくカロリーが低いため、肥満気味のワンちゃんにおすすめのお肉です。手作りフードを与えている方は、鶏肉の中でも脂質が低いささみなどをトッピングしてあげると良いですね。

 

また、鶏肉は他の肉より犬の食いつきが良いといわれています。パトテン酸、セレンが豊富。

 

メリット デメリット

・犬の嗜好性が高い
・低カロリー
・価格が安い

・鶏皮を含むとカロリー過多になる
・まれにアレルギーを起こすことがある

 

羊肉(ラム肉)

 

ドッグフードに使われる羊肉は、ほとんどラム肉です。ラム肉とは、生後約1年以内の子羊の肉のことで、臭みが少ないという特徴があります。

 

日本国内ではあまりなじみがないですが、ヨーロッパでは高級食材とされプレミアムドッグフードに多く使われています。

 

カロリーが低く、脂肪を燃焼させるカルニチンが豊富。アレルギーを起こしにくい肉としても知られています。

 

メリット デメリット

・低カロリー
・高たんぱく
・アレルギーを起こしにくい

・独特の匂いがある
・ラム肉アレルギーの犬には不向き

 

鹿肉

 

鹿肉は、皮膚のビタミンともいわれるB6を多く含んだお肉です。100gあたりのカロリーが非常に低いため、カロリーを必要としない老犬、シニア犬に最適です。

 

以前に比べて流通量が増えていますが、牛肉や鶏肉に比べるとその量はまだまだ少なく、販売価格が高い傾向にあります。

 

メリット デメリット

・高たんぱく
・低カロリー

・価格が高い

 

馬肉

 

馬肉は骨を作るカルシウム・鉄分が豊富で、牛肉の3倍ほど含まれています。カロリーは、鹿肉並みに低く「高たんぱく低炭水化物」を徹底したい方におすすめ。

 

ドッグフードになるとあまり犬の食いつきはよくないことがあるようですが、新鮮であれば生の状態で食べられるほど臭みが少なく、犬の嗜好性も上がるといわれています。

 

メリット デメリット

・高たんぱく
・低カロリー

・犬の食いつきがよくないことがある